第78回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第77話 英語の試験を受験する。               2012年 4月25日 投稿。
 
日本史の試験が終わり、試験会場を出て、連隊食堂に歩いて行き、昨日の食堂担当者の軍曹を見つけて、
 
ぺこんと頭を下げて、「今日はどこで食べたらよろしいでしょうか。」と軍曹に聞くと、軍曹が、「昨日と同じ、あ
 
そこのテーブルを使用するように。」と指示があったので、そちらに移動すると、すでに他の4人の生徒が、腰
 
をかけて、弁当を食べていた。「となりを失礼します。」といって、座って、弁当を広げた、開けて見ると、鮭の焼
 
いた美味しそうなのが入っていた。のどが渇いたので、水筒のお茶を飲んだら、昨日と同じ美味しいお茶であ
 
る。
 
となりの生徒が、心配そうにして、「あのー、仏教が伝来したのは、何年でしたでしょうか。」と聞くので、「538
 
年です。」と返事をすると、しょんぼりして、「間違えてしまった、もう終わりだ。」と、頭を抱えていた。気の毒な
 
話しであるが、1問間違えたら、不合格で、次の試験は受けられない。
 
人ごととはいえ、次は、我が身である。
 
美味しい弁当であったが、自分も試験結果が心配で、食べた気がしなかった。
 
しばらくして、掲示板に、合否が、貼り出された。
 
受験番号 86番 ちゃんと合格で番号があったのであった。
 
5名中、4名が合格であった。
 
年号を聞きに来た生徒は、残念ながら。朱墨で、棒線が引いてあった。
 
気の毒な事であるが、自分の事で精一杯である。
 
すぐに、連帯講堂の試験会場の受付に行って、受験番号と、氏名を申告して、試験会場に入った。
 
英語の試験の始まりである。
 
緊張していると、午前中の海軍士官が、答案を抱えて会場に入ってきた。
 
「全員、起立、礼、 なおれ、傾注。」 、 「英語の試験は、ここにいる4名で行う、試験問題は、5問で、時間は
 
2時間である。最後まで良く確認し、失敗のないようにせよ。」と話しがあった。
 
前の生徒に用紙が配られて、自分の所に答案がまわってきた。
 
いよいよ英語の試験の開始である。
 
【次回に続く。】