第105話 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第104話  稲刈りのおやつ                       2012年5月22日 火曜日 投稿。
 
稲を干す、三つ叉を組んで、ワラで縛って、竹竿を渡して、もう一つ組終えた、あと数個分、支柱などがあるの
 
であるが、もう少し刈り取りが終わって、別の場所で組むらしい。
 
そうこうしているうちに、お茶を、おばさん達が、わきとりに入れて運んできた。
 
「みなさん、大変だったでしょう。」と言って、茶碗に茶をいれて、お手ふきを配って、おおきな、1尺皿に、
 
柿の葉餅が、入っていた。
 
奈良の山奥では、柿の葉に、お寿司を入れたり、お餅を入れるのであるが、ありがたくいただいた。
 
山口のおじさんが、「稲を刈り取った後は、干して、脱穀して、大変だーーーーー。」と、お茶を飲みながら、
 
話していたのであるが、脱穀とは、籾殻から、コメを取り出す作業らしい。
 
「この仕事、してもしても、生活が楽にならず、外に出ようかと、思ったが、経済恐慌で、工場も仕事がないし、
 
かというて、これといった、特技もないし、今後の人生、どうしたものかのー。」と話すと、奥さんが、「あんた、
 
贅沢言うたら、あかんでー、戦地から、白い箱に入って帰ってきたと思えば、どんなにしやわせか。」と言う。
 
おじさんが、「シナの方で戦死したら、大きな穴を掘って、死体をを放り込んで、まとめて埋めてもらえれば、
 
よいほうで、野ざらしで、腐って、見るも無惨な姿をずいぶん見てきた、戦争はこりごりだわい。」と
 
しみじみした顔でつぶやいていたのを記憶している。
 
【次回に続く。】