第109回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第108話  当時の世相                         2012年5月26日 土曜日投稿
 
早朝、いつも通り起床し、大山新聞店にいって、新聞を袋に入れて、出発して、走って配達してまわった。
 
このころになると、容量を得たというか、どうゆうか、早く配れるようになっていたのである。
 
最後の1件を残して、配り終え、田んぼのそばの道で、一服しながら、新聞を開いてみると、大きな見出しで、
 
第1回国勢調査施工結果と書いてあった。
 
ほうーと思ってみても見ると、日本の人口が、77,960,000人とある。
 
大正9年の10月初旬から、調査していたようであるが、戸籍上の集計らしい。
 
この大正9年の年は、日本が国際連盟に加入して、国際社会に進出しようとした年でもあり、東京の市電で
 
ストライキがあったり、九州の八幡製鉄所で、ストライキがあったり、全国に、労働争議が頻発して、経済恐慌
 
が始まりかけた、そんな時代であった。
 
内閣総理大臣は、原敬【はら たかし】で、政党政治の末期の時代であった。
 
当時は、海軍は、政治に口出すようになり、徐々に政界を裏から支配して、思うような政治を行っていたのである
 
が、7月に、海軍拡張法案なる物を、国会で可決して、軍事費の増大をはかり、艦船の軍備の増強を始めた
 
のであるが、時の大蔵大臣、 高橋是清が、「このままでは、財政が破綻してしまう。」と抵抗して、一悶着して
 
いる頃であった。
 
高橋大蔵大臣の主張は、もっとも的を得たお話で、海軍は、軍艦の建造のことばかりを主張して、政治を乱し、
 
地方は、不景気で、荒廃するばかりであった。
 
現在は、自衛官などは、政治活動は禁止されているが、当時の海軍は、どんどん政治に口を出して、出すだ
 
けでなく、総理大臣を海軍から出して、陸軍を押さえて、日本を掌握しようとしていたのであった。
 
その中心人物は、山本権兵衛海軍大臣を中心としたメンバーで、やがて、暗殺などに手を染めることになる。
 
奈良の田舎の道ばたで、新聞を立ち読みして、最後の家に配達したのであった。
 
【次回に続く。】