第112回 昭和の伝道師【戦前、戦中のパイロットの物語】

第111話 畝傍中学で、入試書類を手配する。           2012年5月29日 火曜日の投稿です。
 
廊下で約1時間程度待っていると、用務のおじさんが、鐘をならして歩き出した。
 
授業時間の区切りである。
 
現在の学校は、スピーカーから、音楽が鳴るように出来ているのであるが、当時はまだ、手でならして歩くの
 
であった。
 
しばらくすると、先生たちが、職員室に戻って来だした。
 
すると、「 おーーー、淵田君、元気かーーー。」と最後の学年の先生であった、岡本先生が、本や、書類を持っ
 
て、戻って来た。
 
「きみのことは、心配していたんだ、教頭先生から聞いてはいたのだけど、どうしたの。」と聞かれたので、
 
「実は、来年の海軍兵学校の入試の書類を御願いしに、おじゃまいたしました。」と、御願いすると、「先生は、
 
次の授業があるので、3日後に取りに来てくれたら、ちゃんとしておくから、この書類に、書いてあることを用意
 
しておけば良いのかな。」と、ニコニコと機嫌が良さそうであった。
 
「きみは、東京帝大とか、早稲田とか、受験したらどうかね、間違いなく合格すると思うのだがね。」と、言
 
われたのだが、「自分は、海軍に入って、国のため、国民のためにがんばりたいのです。」と回答すると、
 
「立派な心がけだ、先生も感心するよ。」と言われたのであった。
 
又、3日後に、書類を取りに来る約束をして、学校をあとにした。
 
久しぶりに来る、母校で、大変懐かしかった。
 
【次回に続く。】