第164回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第163話 青鬼中尉と、笛の話し、                         2012年7月22日  日曜日投稿
 
 朝の8時過ぎ頃に、馬と馬車で、奈良の38連隊の兵士たちが、畝傍中学にやってきた。
 
今日は、安藤大尉でなく、どっかりとした体格の足の短い、将校で、階級章から中尉のようであった。
 
みんな、じょじょに校庭に整列しだすと、その中尉は、服部少尉と一緒に校舎の中に入っていったのであった。
 
 呉服屋の清水君が、「たこ、 今日はなんの訓練かいの。」と、聞くので、「包帯の巻き方でも、するんじゃないか。」
 
と言うと、清水君が、「ほんなら、あの中尉が、軍医かのー。」と、話しをしていたら、校舎の玄関から、例の将校
 
二人と、校長先生たちがあたふたと出てきたのであった。
 
   時刻はちょうど朝の9時頃であった。
 
 中尉は朝礼台に上がって、笛を「ぴーーーー。」と吹いて、「全員整列、左から番号ーー。」と、言うと、みんな、「1  
 
2    3   ーーーー。」と、番号を答えていった。
 
 
 
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                               【当時の演習風景】
 
 
 清水君が後で、「たこ、あの将校、節分の時に出てくる鬼に、そっくりやのー、見てみい、 虎のしましま模様の
 
6尺ふんどしはかして、頭にもじゃもじゃの髪をかぶせて、 角を2つつけたら、そっくりやがな-。」と、言うので、
 
それを聞いていた自分と、周囲の生徒が、朝礼台の将校を見て、「ブゥーーーー。」と、吹きだして、笑ったので
 
あった。
 
 すると、「ぴぃーーー。」と、笛を鳴らして 、番号を連呼していたのであるが、中尉が、「やめーーー。」そして、
 
「こらーー、貴様ら、朝から何がおかしい、無礼者。」と、朝礼台の上で、怒り出したのであった。
 
みんな、シーンとして、黙りをしていたのであったが、呉服屋の清水君を前に呼び出して、「貴様は、何を笑ってい
 
たのか。」と尋問して、「清水君が何も言っておりません。」
 
と、ウソを言うと、「そんなわけない、おまえが笑うようなことをしたのだろう。」と怒鳴って言うと、清水君が、機転    
を利かして、「そうであります、実は、自分が、おならを落としたのであります。みんな臭いので、笑われたので
 
あります。」と言うと、 ご丁寧に、そこで、聞こえるようにおならを落としたのであった。
 
中尉は、「朝から、へを落とすとは、体内に毒がたまっている証拠だ、今日は徹底的に、ウミを出してもらう、列に
 
戻れ。」と不機嫌そうに清水君に言い渡したのであった。
 
 やれやれ、今日は、どういう風が吹くことやら、先が思いやられたのであった。
 
【次回に続く】