第168回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第167話  昼飯抜き訓練。                         2012年7月26日 木曜日の投稿です。
 
  しばらくしていると、用務員のおじさんが、鐘をチリンチリンとならせて、歩いていた。
 
正午の合図である、やれやれ、お昼ご飯であると喜んでいたら、 青木中尉か゜、「戦地では、糧食の補給がなかな
 
かこないことが多い、つまり食事が出来ない事が多いのである、あーー又、外地の水を飲むと、日本と違い、腹を
 
下すことが多い、そういうわけで、本日は、昼の休憩は無しで、そのまま、負傷者救助訓練を行う。」という、
 
 口に出さなかったが、ええーーーと思ってしまい、ガックリしたのであった。
 
負傷者救助訓練とは、包帯の巻き方とか、訓練するのかと考えていたのであるが、校舎の前に集合させられ、
 
二人組に組を作らされて、整列すると、青木中尉が、「全員、傾注、 諸君、これより戦友が負傷したという想定で、
 
戦友を担いで、運ぶ訓練をする。 」
 
「よいか、戦友を途中で落としたりした者は、さらに、バツとして、校庭を2往復してもらう、よいか、戦友を落とすな
 
よ。」と言うと、「 玉井上等兵、高松一等兵、前に。」と命令すると、「これから、見本を見せるので、よく見ておくよう
 
に。」と言うと、二人の兵士が、見本を見せたのであった。
 
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     「良いか、戦友が足を撃たれて、貫通銃傷を負ったと、仮定して運ぶ、目標、鉄棒の所、始めー。」と、
 
命令すると、みんな担いで、一生懸命歩いたのであるが、青木中尉が「 全員走れー、歩いていたら、撃たれるぞ
 
ー 。」と言うものだから、全員小走りで、担いで走る。
 
 鉄棒の所に行くと、今度は、「交代して、担いでいた者は、反対に、担がれろ、用意、目標、校舎の所、始めー。」
 
と今度は、鉄棒の所から、校舎の所に向かっても走るのである。
 
  昼ご飯は食べてないは、水は飲んでいないは、朝の訓練から、ぶっつづけである。
 
担いでいた人を、おぶったまま、校庭で、停止すると、兵士が、「戦友を落とすとは何事か。」と、怒鳴るので、
 
そのまま何とか、校舎まで小走りする。 
 
  そんな訓練が、20往復程度続いたであろうか、くたくたになって、地面にへばりこんでしまったのであった。
 
【次回に続く。】