第169回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第168話  校内軍事演習の後の出来事                 2012年7月28日 土曜日の投稿です。
 
 みんな井戸に直行して、水をかぶのみしたのであったが、卒業生と言うこともあり、遠慮して、朝作ってきた
 
水筒で、水を飲んだ、お腹がすいていたので、弁当のにぎりめしを、水筒の水で、手を洗って、ほおばった、自分
 
で作ったにぎりめしであったが、父さんと一緒につけた、梅干しが胃袋にしみたのであった。
 
 弁当をほおばっていると、五条 の写真屋のおじさんが、校門を通過していくのが見えた後、青木中尉と、兵士
 
たちが、馬と、馬車に乗って、校門からでていった。
 
 昨日の訓練は、物珍しく、魅力的な訓練で、本日も期待していたのであるが、期待はずれのきつい訓練になって
 
しまった。
 
 生徒の中には、呉服屋の清水君が、朝、おならを落としたので、将校が機嫌を損じて、訓練がきつくなったと、ぼ
 
やく姿を、ちらほら見たのであるが、当の本人の清水君は、一目散に帰ったようで、学校にはいなかった。
 
 服装の泥を払い、服装を正して、職員室に、挨拶して帰ろうとしたのであった。
 
  
職員室に行って、合図をして、戸を開けると、教員が校長先生と教頭先生に、今日の演習の苦情を言っている
 
最中であった。
 
どうも、県の職員や、奈良の連隊に、抗議して、次回の軍事演習を無しにしろと言う意見のようであったが、
 
昭和に入ると、そのような考えの教員は、赤とか、非国民とさげすまれ、憲兵隊に逮捕され、学校から駆逐され
 
ていくのであった。 
 
【次回に続く。】