第170回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第169話  教頭先生からの言葉。                     2012年7月29日 日曜日投稿です。
 
 職員室で、がやがやもめている最中だったのだが、ちらりと自分の方を見た、教頭先生と岡本先生は、
 
教師の苦情を遮るように、入り口の方のこちらに歩いてきて、「淵田君、入試前に無理を頼んで、すまな
 
かった、
 
今日は、大変だったと思うが、大丈夫かね。」と、言葉をかけてくれたのであった。
 
 「自分は、新聞配達で鍛えておりますので、少しでも母校の為になりましたら、本望です。 今日は、これ
 
で失礼させていただきます。」と、挨拶したら、岡本先生が、「学校としても、君の入試には、協力を惜しま
 
ないから、相談があったら、学校に遠慮なく来てくれよ。」と、言葉をいただいたのであった。
 
 丁重に、挨拶して、職員室を出ると、校舎を後にした。
 
 
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当時としては、珍しい3階建ての校舎で、堅固な造り、この畝傍中学の建物は、その後、大戦中は、
 
海軍経理学校が、疎開してきて、海軍経理学校仮校舎となるのであるが、24年後のことである。
 
  他の生徒とともに、校門を出て、家路を急いだのであった。
 
後日、知ったのであったが、教頭先生たちは、海軍省に対して、畝傍中学校から、推薦状を個別に出し
 
てくれて、海軍兵学校の面接試験で、ずいぶん有利になったのは、数ヶ月後の事であった。
 
大正10年3月2日の出来事であった。
 
【次回に続く。】