第171回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

  第170話  海軍省発の電報が来る。                 2012年7月30日  月曜日投稿
 
  大正10年3月3日 自分は、早朝、起きたのであるが、鍛えたつもりの体が、節々が痛い、昨日のほ
 
ふく前進訓練が原因らしい、全く、体がなかなか動かない、 ギク、ギク していたいのである。
 
井戸までいって、そうそう、昨日の汚れた服の洗濯があったのだ、奈良の3月初旬は、山間のため、冷える
 
のである。
 
あー昨日は、えらい目におうたわー、しかしながら、なんだな、服の泥の汚れが落ちないのである。
 
  洗濯板に、破れるのではないかというくらいこすったのであるが、だめやなー、まだ冷たい井戸水に服を
 
つけて他の洗濯物とは別に、何回も洗ったのであった。
 
なんとかシミの状態で、洗濯がすんだのであった。
 
 朝の4時から、5時まで洗濯して、それから、火をおこして朝食の準備である。父親もおきてきて、弁当の
 
準備やら、慌ただしく過ぎていく。
 
  食事時に、世間話や、昨日の出来事を家族と話し、食事のかたずけは、自分の仕事である。
 
父を学校に送り出した後は、少し自分の時間が取れるので、英語の勉強である。
 
 そろそろ入試も近い。
 
昼前であったか、1通の電報が我が家に届いたのであった。
 
 海軍省からの受験通知であった。
 
昨年に比べて、採用数が多く、手続きが多いので、その分、入試の日程が、数ヶ月早くなったらしい、
 
4月に、試験が始まるのであった。
 
 いよいよ、人生の再チャンスの最後の日々が近づいてきた、今年はぜひ合格しないといけないので
 
あった。
 
 
【次回に続く。】