第190回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

 第189話 学科試験の電報が来る。
 
 場所は、変わって広島市内の源田實の下宿には、一通の電報が届いた。電報配達人が、「電報ですけー。」
 
と、おばさんに、渡していった。
 
 おばさんが、「實くん、電報が2通来たわよ。」と、下で、大きな声で呼ぶので、階段を下りていき、玄関に
 
行った、一通は、海軍省からで、受験案内で、5月6日に広島第5師団 講堂に8時30分集合とある。
 
ハンコの角印がおしてある用紙であった。
 
 もう一通は、広島県立第1中学からであった。明けて中を読むと、5月3日朝9時に、海軍兵学校の受験の説
 
明会をするので、第1中学にこられたし。とあった。
 
いよいよである。海軍兵学校、受験の大切な、日々の始まりであった。
 
 
イメージ 1
 
                       【大正後期のの広島市元安橋
 
 
        下宿から西にしばらく歩くと、元安川に出て、当時は、元安橋というのがあった。
 
この橋は、大きな鳥のランプの街灯が即いた、立派な造りで、人通りも多かった。
 
     元安橋の上で、川面を見ながら、海軍兵学校への入学の、決意を新たにしたのであった。
 
【次回に続く。】