第194回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第193話  口頭試験の事                         2012年8月22日 水曜日投稿です。
 
 平本中尉は、最終日に行われる、口頭試験と言うところを指さした。
 
「今日は、最終日の口頭試験の話しをする。」  「試験官は、二通りだ、我々の軍人である場合、つまり、武官、
 
そして、民間の教員の文官の場合、いずれも評価方法は、○又は×だ。
 
口頭試験は、実際の問答も重要であるが、入室、退室の行儀作法が大切となる。」と、話しをすると、教卓から、机の
 
後に歩いて行き、誰も座っていない、机とイスを窓際に、イスだけを、中央に置くと、「全員、起立、まわれ後。」と、叫ん
 
でこちらを向いたのであった。
 
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 平本中尉が、「よいか、これから、口頭試験の予行を行う、重森生徒、貴様は、部屋に入るところからやってみろ。」
 
と、指示を出したのであった。
 
 この重森生徒、父親が、広島県庁の職員で、陸上競技の選手で、頭の良い生徒で特に足は速かったのであった。
 
重森生徒は、後の入り口をノックすると、「入ります。」と、大声で挨拶し、ぺこりと挨拶したのであった。
 
すると、平本中尉が、「きさま、なんだ、その礼の仕方は、ーーーーーー。」と、みけんにしわを寄せて、大声を出した。
 
木のイスから、すくっと立ち上がり、重森生徒の方に行くと、「貴様もう一度やってみろ。」と、言うと、重森生徒は、
 
教室の入り口で、きょうつけ姿勢で、礼をしたのであった。
 
 平本中尉が、「貴様は礼をしたときに、どうして、がに股のように、又を開くのか、バカもん。」と、一喝した。
 
「いいか、まずは足のかがとをつけろ、そして、つま先を開け、背筋を伸ばせ、肩を広げて、あごを引け、そして、45度
 
の角度で、頭を下げろ、このときに、貴様は、金玉の力が抜けておるので、又が開いておかしい姿となる、金玉に、
 
力を入れろ、もう一度やってみろ。」と大声で叫んだのであった。
 
重森生徒は、ここで何回も、45度の礼をさせられたのであった。
 
【次回に続く。】