第197回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第196話 海軍に必要な人材の事 2012年8月25日土曜日投稿です。
平本中尉は、黒板に、ちょうくで、い、ろ、と文字を書いた。
「いいか、 い、言う生徒と、ろ、と言う生徒が、ここにいたとする。 い、という生徒は、はじめから出来が良く、
試験の成績も良く、運動も良くできて、80の出来とする。 ろ、という生徒は、勤勉で、努力家、現在は、65の出来で
あるが、将来努力して100の出来の可能性があるとする。
ここで、重要なのは、大日本帝國は、無駄な事は、一切しない。合理主義と言うことを覚えておくように。」
「今、伏龍のように、可能性を秘めていても、今の80の生徒の方が、将来伸びなくても、戦力になれば、その方が
良いのだ、65の人間にいちいち多額の資金、時間は費やさない。」
「全員わかったか。」と問いかけられたので、「はい。」と大声で全員返事をしたのであった。
平本中尉は、「さらに、口頭試験においては、先に説明したように、2つの評価、 良いか、悪いかの評価である。
口頭試験官が、武官にしろ、文官にしろ、悪い印象を持たれるな、 素早く質問を頭で整理し、簡潔に、的確に
返事が出来る様にしておけ、自分の口頭試験の時は、口頭試験の試験官が文官であった。
当時、どのような問題であったかというと、「海軍に入って、どのようなことをして大日本帝国の為になりたいのか。」
という、質問であった。
当時を振り返ると、大砲の事しか思い浮かばなかったので、「砲術を修行して、どんな距離で
も一撃必殺の砲撃で、敵艦を撃沈できるような海軍将校になりたいです。」と、解答をしたと記憶しておる。」
「今の時期は、先ほど紹介した、魚雷攻撃、つまり、水雷の専門家になるという、解答も専門的でよいかもしれん。」
「ただし、文官というものは、軍人でないので、やつらは、何を質問してくるのか、予想が大変難しい、ここが、やっか
いだ、思わぬ伏兵を招きかねん。」
「いいか、各自それぞれ、事前に、口頭試験対策を立てて、がんばるように。」と、話しがあったのであった。
【次回に続く。】