第202回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第 201話 父の休暇のお話。 2012年8月30日 木曜日の投稿です。
教頭先生に、父の欠勤を丁重に告げた後、職員室を出たのであった。
職員室の引き戸を閉めて、下駄箱のある出入り口に、向かって歩いていると、
後から、教頭先生の声で、「あーーー、淵田君、ちょっとまってくれ。」と声がしたので、
立ち止まって、振り向くと、「お父さんに、当分、休暇を取ってはどうかと、私が言っていた
と、伝えてくれないか、学校のことは心配ないから。」と、伝言を頼まれたのであった。
ぺこりと会釈して、小学校を後にして、自宅に帰ったのであった。
途中、近所の山口のおばさんと会ったので、挨拶したら、「早朝に、大八車で、シカさんを運んでいた
ようだけと、なにかあったのーーー。」と、聞かれたのであった。
「実は、夜中に、下腹が痛くなって、たまらないというので、病院に父さんと一緒に、運んだんです。
先ほど、父さんの学校に、欠勤を伝えに行ってきたところです。」と、言うと、「まあーー、大変ねー。」
と、言うと、「おばちゃんのところで出来る事があったら、なんでもいうてきぃーね。」と、言って心配して
くれたのであった。
自宅に戻ると、何しろ朝も食べていないので、お腹がすいたので、とりあえずは、
昼ご飯の支度をして、あり合わせの物で、一服した。
昼食を食べると、裏藪で、笹の葉を取ってきて、良く洗って塩をふって、残りのご飯で、おむすび
を作って、柿の葉で巻いて、弁当にしたのであった。
葛城地方では、柿の葉で、握りを包んだり、笹で包んだりするのである。
それと、タンスの引き出しから、お金を余分に持って、財布の中に入れて、
母の着替えなどを、風呂敷包みに積み込んで、すぐに、杉浦病院の方に急いだのだった。
【次回に続く。】