第224回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

  第223話 大和屋での昼食                       2012年9月21日 金曜日の投稿です。
 
 奈良の町中を、考え事をしながら歩いて宿屋に戻ったのであった。
 
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           入り口ののれんをくぐると、女将さんが、「淵田君どないしたん、さえん顔して。」と、聞くので、
 
          「いやーー、午前中一問、よくわからん問題がありまして、考えていたところです。」
 
          「おばちゃん、お昼作って、まちよったんよ。」と言うので、「すまんことです。」といって、中に
 
          入ったのであった。
 
          すると、数人の同宿の生徒がいて、みんなさえん顔つきであった。
 
          水を向けて、聞いてみると、彼らも、よく問題がわからんかったらしい。 
 
           
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          しばらくすると、女将が、脇取りを抱えて部屋に入ってきた。「おばちゃん、昨日ね、うどんを練
 
          って、こしらえて寝かせていたの、ちょうど食べ頃でね、どうぞ。」と、出してくれたのであった。
 
         「ほうーー、珍しい肉がはいっちょるのーー。」と言うと、女将が、「お肉屋さんでね、カモをさばいて、
 
          もらってきたの、高かったのよ、よう、かんで味わってね。」と言うと、台所に下がっていったので
 
          あった。
 
           うどんは、腰があってなかなか美味しい、ネギも美味しいが、一緒に入っている汁が又何とも
 
          いえぬ良い味で、五条の町のそばもうまかったが、ここのうどんも美味しいのであった。
 
          部屋で、みんな、うまい、美味しいといいながら、いただいて   夕方の合否の発表の心配を
 
          したのであった。
 
 
  【次回に続く。】