第225回 昭和の伝道師【戦中、戦後のバイロットの物語】
第224話 数学1の合否発表 2012年9月22日 土曜日の投稿です。
15時頃、宿屋の大和屋の女将に、連隊に、合否発表を見に行くと告げて、のれんをくぐって、外に出た。
今日は、よい天気で、快晴であったのだが、自分が宿を出ると、他の連中も、ぞろぞろとついて出てきて、
後を歩いているようであった。
まっ、他人のことは気にしないようにして、奈良歩兵38連隊に急いだのであった。
もうそろそろやのう、と考えていると、連隊の門が見えてきた。
正門の兵士に挨拶して、営内に入ると、 少しはなれたところに、ガソリン車が、
とまっているではないか、 連隊長殿でも乗られるのかのーと思いながら、
少し離れて、じっと見ていた。
当時の車は、ほとんどが輸入車で、1台で、家が数軒買える程度の値段で、
ごく一部の人しか、車には乗れなかったのであった。
自分も、1度、あの車に乗れる身分になりたい物よと、考えていたら、
しばらくして、合否の発表が貼り出された。
自分は、千番台なので、もう少し待たないと、張り出しが追いつかないようであった。
昨年は、朱墨で、不合格は棒線が引いてあったのだが、今年は、人数が多いので、
合格者の番号のみを 紙に書いて掲示してあるようであった。
最後のほうの紙が張り出しになったので、自分の受験番号があるか捜したのであった。
あった、あった、自分の受験番号が、シアトルまでの距離は、3800海里であったようだった。
これも神のご加護とともに、新聞配達をしていた、効果であった。
【次回に続く。】