第227回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第226話  入試1日目の合格発表                   2012年9月24日 月曜日の投稿です。
 
  
イメージ 1
 
 
        大本営の看板がある、広島城の大手門につくと、立ち番の陸軍兵士に、「広島第1中学卒業、
 
   源田實、合否を確認しに、入ります。」と、挨拶すると、「入って良し。」と、返事をいただいて、そのまま、
 
  広島城内に入ったのであった。
 
   場内の木で作られた、掲示板に、人だかりが出来ていた、千人近く、受験者がいたと思ったのであるが、
 
  張り出しは、100人前後であった。  ずいぶんと振り落とされたようである。
 
 
    源田實は、そのまま歩いて、近づき、左の方の番号の若い方を見ていると、自分の88番という、数字を
 
  見つけると、すぐに大手門のほうに、引き返したのであった。
 
   おそらくは、明日の数学2と、午後の英語の試験は、難しいに違いない、海軍省は、受験生が多いので、
 
  初日、二日目で、ふるいにかけて、数名程度しか、毎年のことであるが、合格者は、広島会場からは出ない
 
 のであった。
 
   大手門の立ち番の兵士に、挨拶して、夕方の広島市内を歩いて、下宿まで戻ったのであった。
 
 
イメージ 2
  
 
        市内を、ゆらりゆらりと歩いて、明日のことを考えながら、下宿に戻ると、おばさんが帰っていて。
 
        「實君どうなかったん。」と聞くので、「予定通り、数学1の試験は合格じゃったんよ。。しかし、明日
 
       が、数学2と、 午後から、英語があるけえ、がんばらにゃーいけんわ。」と、言うと、「はぁー、うちは、
 
       心配で、胃がいとうなったんよ。」と、おばさんが心配してくれるので、ありがたかったのであった。
 
       
イメージ 3
 
 
               下宿にはいると、なにやらうまそうなにおいがしてきたので、台所に行ってみると、
 
             地鶏の足であった。
 
             「おばちゃん、これどうしたんねー。」と、聞くと、「あんたにがんばってもらおうと、高いのに、
 
              猿楽町まで買いにいってきたんよー。」と言う、こんばんは、ごちそうのようであった。
 
 
【次回に続く。】