第228回  昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第227話 大正10年5月6日の夜の出来事                 2012年9月25日 火曜日の投稿です。
 
  その日の夕方、下宿に戻って、おばさんが猿楽町【現在の平和公園付近】の肉屋で、鳥の肉を買ってきてくれて、
 
ごちそうを作っていたのであった。
 
  当時、鳥の骨附きモモなる物は、超ごちそうで、一部の人を除いて、めったに人々の口には入らなかったので
 
あった。
 
   楽しみにしながら、2階に上がって、明日の準備をした、と言っても、もう準備はし尽くして、万全の状態で
 
あった。
 
そのうち、18時過ぎに、夕食の時間になり、ご飯をいただいたのであった。
 
呼ばれて、居間に降りてみると、四角いお皿の上に、肉が置いてあった。
 
 
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      「實君は、加計の家で、こうなん、たべようらんのんね。」と、聞かれたので、「うちは、農家で、
 
  いつも、漬け物や、野菜の煮物、麦飯です。」と言うと、「ほんまねえーおばちゃん、奮発して、こうてきたんじゃ
 
けえ、明日もがんばるんよ。」と、言ってくれたのであった。
 
「何しろ、この広島県の中で、毎年、5人か、4人しか、合格せんのじゃけえ、栄養をつけて、他の人に遅れをとらん
 
ように、せにゃーねー。」と言うのであった。
 
 
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             はしで、肉を分けたところ、肉汁がじゅわーと出てきて、うまそうであった。
 
            「ほうー、うまそうじゃのう。」と言うと、「そりゃーおばちゃんが腕によりをかけて、
 
           つくったんじゃけえ、おいしいにきまっとろうで。」などと、話していたのであった。
 
 
             おばさんが、「ところで今日の合格発表はどうじゃったんねー。」と聞くので、
 
            「千人ぐらい受験に来ていて、合格は100人前後しか、貼り出しがなかったわーー。」
 
            と、肉をほおばりながら話すと、「へえーー、あんたも前々から、たいしたもんじゃと
 
            おもようたけど、たいしたもんじゃねー、明日もがんばるんよ。」と、声をかけてくれて、
 
            
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             「うまい、うまい。」と、連発していると、
 
             「そんなに美味しかったら、これ、おばちゃんのぶんもあげるけえ、数学2と、
 
             英語の試験、がんばりーね。」
 
            「あーーそうそう、實君、明日、午前がすんだら、昼どうするんねー。」と、聞かれたので、
 
            「弁当があれば、助かるのですが。」と言うと、「ほんなら、おばちゃんつくっといてあげるわー。」
 
            と、会話したのを覚えている。
 
     【次回に続く。】