第239回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】
第238話 大正10年5月7日の夕方の出来事。 2012年10月6日 土曜日の投稿です。
試験官の号令で、試験は終了した、
いそいで、筆箱に、鉛筆をしまい込んで、答案を前に出して、部屋から出たのであった。
建物内の時計を見ると、まだ、16時過ぎであった。
広島城内をうろうろしていると、又、陸軍の兵士に、とがめられてはいけないので、大手門の方に歩いて行くと、
同じ、一中卒業者のたむろしている場所に、遭遇して、ここで、17時頃の合否発表を待つことにしたのであった。
重森のやつが、はじめ千人ぐらいが、百人程度になって、昼に、36人になって、今回は、何人に減るのかのう。」と、
言うと、井上が、「今回は、そんなに減らないのではないか。」と言う、重森が「なんで、へらんのんなら。」と、聞くと、
「実力は、みんな均衡しているのでは、みんな残っている連中は、それなりの出来のええ生徒いうことよ。」
と、言うと、重森が、「はぁー、そうあってほしいのー、何しろ、五番目の問題、ちと、ややこしかったのう。」と言うと、
井上が、「あっーー、 重森靖彦、 不合格決定です。」と、からかっていたのを覚えている。
右となりに、石村が、あくびをしていたので、「おみゃー疲れたんか。」と、聞くと、「あーー、わしゃー、胃が
痛うなったわ。」と、言うので、試験はまだ3日も残っとって、まだまだでーー。」と、言うと、「ほうじゃのう。」と
話しをしていると、陸軍の兵士が、合否の紙を貼りに、数人掲示板の所に歩いてきた。
みんな、三十数人も我先に、掲示板に近づいたのであったが、源田實は、急ぐことはない、今いっても、落ち着いて
紙をみれんと、考えて、ひとり、離れて、掲示板を見つめていたのであった。
抜群の視力の源田實は、合格者の中に、自分の番号を見つけ、縦3列 横7列の 合格者21人 不合格者
15名を、掌握したのであった。
【次回に続く。】