第244回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第243話 大正10年5月7日数学2の試験の事 2012年10月11日木曜日の投稿です。
答案用紙が、最後の列の生徒に行き渡ると、「誰か、用紙の無い生徒はいないか。」と、試験官が聞いたので
あったが、誰も何も言わなかったのであった。
「よし、数学の2の試験を始める。 それではよーい、はじめ。」と、大きな号令をかけたのであった。
問の1は、3000メートルの先にある敵陣地に砲撃するのであるが、船が10ノットで移動して、5分後の地点で、
射撃した場合の目標までの水平距離を算出せよという、問題であった。
はてーー、10ノットで、まずは5分たったら、船がどこにいくか、考えないといかんなーー、
その距離を出して、敵の陣地が、ここで、3000メートル離れた点から、5分の距離との
斜距離を出してやればえいっちゅーこっちゃ。
そうして、出てきた数字を記入したのであった。
2番目は、図の円錐の容積を求めよとある。
公式に、図の数字を代入して、計算してやれば、大丈夫や。
えんぴつで記入した。
3番目は、1点あるいは、1直線に関して対象となる図形はいかなるものか という問題であった。
ずいぶんと、考えて、答えを記入して、ちらりと横の列の生徒に目をやると、となりも鉛筆が
進んでないようであった。
4番目は、半径A尺なる円があり、その中心角Bに対する弦の長さは、何尺なるやと言う問題であった。
これも、公式を入れて、計算すれば良い問題であった。
5番目の問題は、潜行している潜水艇が、その東1800メートルの会場を北に向かって毎分300
メートルの速さにて、航行中の敵戦艦を視認して、毎分150メートルの水中速度にて、直進してすみ
やかに敵船艦の西方500メートルの点に近づかんとす、その進むべき方向を四角い枠の中に作図
せよ。という、問題であった。
問題を読んで、作図するので、筆箱を見ると、宿屋に物差しを忘れてきたようであった。
これは、まずいことになったのであった。
【次回に続く。】