第258回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第257話  大正10年5月8日 物理、化学の入学試験の事     2012年10月25日木曜日投稿
 
 
 陸軍の将校は、拝礼がすむと、「よし、全員着席せよ。」と、指示を出すと、黒板に向かって、予定を書
 
 
き出した。
 
 
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  0900時から、1100時まで  物理、化学の試験   合否発表 1230時
 
 
  1400時から、1600時まで 、国語 漢文の試験   合否発表 1700時
 
 
 明日の予定、 0900時から1100時まで 日本史の試験   
 
 
           1400時から1700時まで、 作文の試験
 
 
手早く、ピンピンと、跳ね上がった、鋭い字で、黒板に、予定を書いた、陸軍将校は、つぎの様に話したので
 
あった。
 
 
 
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  「我々は、兵営より外の事を、娑婆【しゃば゛】と呼んでおるのであるが、朝のくじの事を、軍隊では、
 
まるきゅうまるまる時と、呼ぶ、同じく、11時の事を ひとひとまるまる時と呼ぶ、このことは、連絡などに
 
おいて、たとえば、1時を7時と、聞き間違えたりすることを、防止するためである。
 
諸君らは、わかっているであろうが、物理、化学の試験が、合格しないと、午後のひとよんまるまる時の
 
国語、漢文の受験は受けられない、午前中、全力で、がんばるように。」と、話すと、「なにか。質問のある
 
生徒はおるか。」と、訪ねたのであるが、しーーんとして、誰も返事をしなかったのであった。
 
「それでは、前の席から答案を配布するので、順次、後ろに回すように、おい、貴様ら、前から配布せよ。」
 
と指示をすると、白い試験係と腕章をつけた、兵士が、指につばをつけて、ひいーふーみーと、用紙を
 
勘定して、答案を配布したのであった。
 
 
【次回に続く。】