第261回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】
第260話 大正10年5月8日の昼の出来事 2012年10月28日日曜日の投稿です。
物理と化学の入学試験の時間が終了したのであった。
「全員、鉛筆を置け、各自、前に答案を提出せよ。」と、号令がかかり、答案を提出したのであった。
筆記用具をかたづけて、試験会場を出たのだったが、まだ午前の11時過ぎで、1中の生徒が集まって、
どうするのかみんなと話しをしたら、とりあえず食堂に行こうと言うことになったのであった。
みんなで、食堂に行くと、御丁寧に、木の机に、海軍兵学校受験者用と、紙が貼ってあったのであった。
他の中学の受験生もいたのであったが、1中の生徒は、ひとつの机に固まってすわったので゛あった。
風呂敷包みを開けて、弁当箱を開くと、牛肉のそぼろ弁当であった。
水筒のお茶を飲みながら、みんなで午前中の試験の話しをしていたのであるが、
みんな、早くできてしまって、時間が余って仕方がなかったと話していたのであった。
午後の試験は、国語、漢文で、和歌や漢詩などの問題は、暗記することが多く苦手であった。
どの試験も、大変なのであるが、数学などは、公式を暗記していると、数字を代入していけば
良いので、難しそうではあるが、以外と暗記は少ないのである。
後は、問題の数をこなして、応用が利くように、しておけば良いのであるが、
しかし、漢文などは、中国の故事を丸暗記しないといけないし、和歌などは、覚えていない、
問題が出ると、お手上げであった。
そのことが心配で、下宿のおばさんが作ってくれた美味しそうな、弁当であったが、なんだか
食べた気がしなかったのであった。
【次回に続く。】