第264回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第263話 大正10年5月8日午後の入学試験の事        2012年10月31日 水曜日の投稿です。
 
 
 試験会場で待っていると、午前中の試験官の陸軍将校と同じ顔ぶれの、兵士達が部屋に入ってきた。
 
 
黒板に、午後からの予定を、ピンピンはねた鋭い字で、手早く書くと、午前中のように、「各自、時刻合わせを
 
 
おこなう。」と、いって、時計の時刻を合わせた後、答案用紙を配って、全員に行き届いたことを確認すると、
 
「それでは、これより、午後の国語、漢文の試験を開始する。。」と、大声で号令をかけると、試験がはじまった
 
のであった。
 
 
  みんな、一斉に、試験に取りかかったのである、 聞こえてくるのは鉛筆の音だけであった。
 
 
はじめの問題は、志賀直哉清兵衛と瓢箪という、小説の中の文章を、虫食いにして、漢字を書く問題であった。
 
 
この物語は、以前、学校の図書館で読んでいたので、だいたいのあらすじは、知っていたのであるが、漢字
 
は、ごく一般的な、文字で、なんなく解答出来たのであった。
 
2番目の問題は、難題であった。
 
 
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       中国の古典の韓非子の漢文の和訳で、韓非子の事を簡潔に述べよという、問題で、
 
 
      昔の中国の韓という國の、王の妾の子でーーーーーー。と、簡潔に記入したのであった。
 
 
 
3番目の問題は、  漢文の読み方の、文法の問題で、これも以前、練習問題でやっていた問題で、
 
 
   すらりと解答がかけたのであった。
 
 
 
 
4番目の問題は、和歌の虫食い問題で、 ○の原ふりさけ 見れば ○○なる みかさ山に出でし、○かも
 
 
 
こういう、虫食いの問題で、 ○を埋めて、作者を解答せよ、という問題であった。
 
 
 
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        そういえば、正月に、加計の家で、弟や、父たちと、坊主めくりをして、楽しんだのであったが、
 
 
       この中の1枚の問題であった。
 
 
       この問題などは、和歌を暗記していないと、出来ない問題である。
 
         やれやれ、知っている問題が出て、胸をなでおらしたのであった。
 
    早速、 作者  安部仲磨 と書いて、 天   春日   月 と記入した、 以前この問題をしたときは、
  
安部仲麻呂と書いて、名前が違う漢字を書いてしまい、バツになっていたので、記憶に残っていたのであった。
  
だんだんと、調子が出てきて、次は、5問目であった。
 
 
 
【次回に続く。】