第266回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第265話 大正10年5月8日の夕方の出来事            2012年11月02日金曜日の投稿です。
 
 
 国語漢文の試験が終了して、答案を前の教卓の所に提出して、1中の生徒は、ぞろぞろと、試験会場を
 
出て、合否発表のある大手門近くの掲示板の場所に行って、少し離れた近くで丸い輪を作ってたむろし
 
ていた。
 
小松崎が、さえない顔をしていたので、「おい、こまつ、おみゃー、どうしたんなら。」と聞いてみると、
 
「わしゃーー、和歌の問題がわからんかったけえー、だめじゃわい。」と、言うので、きかんほうがよかったのーー
 
と、一瞬思ったのであったが、「まっ、だめでも、来年がんぱってみーー。」と、顔色を見ながら、砂をかける
 
 
ようなことを話したのであった。
 
 
 
イメージ 1
 
 
    重森のやつが、「えーー、小松ーー。二等兵決定、。」 などと、からかっていたのであるが、その間、
 
ずーーっと、広島城天守をながめながら、時間をつぶしたのであった。
 
天守閣というのは、どういうわけか、美しいなどという概念は、当時はまだ持っていなかったのであるが、
 
見ていると、良い姿で、特に、広島城天守は、木の壁と漆喰の白い壁が調和して、夕日を西から受けて
 
西の軍都 大本営の象徴として、きれいな天守閣であった。
 
 
 
 
イメージ 2
 
入試試験も、峠を越えて、明日は、日本史と作文である。
 
あともう少しの辛抱であった。
 
夕方も、17時近くなり、 はやく合否の紙が張り出しにならないかと、イライラとしたのであった。
 
【次回に続く。】