第270回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第269話 物理、化学の試験の事 2012年11月6日 火曜日の投稿です。
38連隊の敷地に入ると、そのまま、連隊講堂の建物に進んでいき、受付に行くと、もう、係の兵士が、
きりっとした姿勢で、受付をしていた。
「受験番号 1020番 淵田美津雄であります。」と、申告すると、名簿をザッと目を通して、1番下にある
自分の名前を見つけて、「良し、入って良し。」と、指示を受けて、建物に入ると、次の机は、顔写真と、
書類の照合をしている場所であった。
「受験番号、1020番 淵田美津雄 入ります。」と、言うと、白い試験係と腕章をつけた兵士が、「少し待
て。」と、生類をめくっていて、自分が、「一番最後であります。」と、言うと、「おう、 そうか。」と、兵士がう
なずき、最後の書類の自分の顔写真と確認していたのであった。
兵士が、「あそこの1番後に、机に紙が貼ってあるので、おまえの席は、あそこや。」と指示を受けて、
その席に向かって歩いたのであった。
そこの試験会場の1番後の席に行くと、机の上に、自分の番号が紙に書いて、貼ってあったのであった。
そこの席に着くと、机の数は、29個で、受験者は、わずかになっていた。
しばらくすると、奈良県下の生徒が、どんどん入ってきたのであったが、全員、自分より年下の、後輩達で、
自分が1年、遅れていることを肌で実感したのであった。
まっ、急がばまわれ。という、ことわざがあるが、実際は、良い気持ちでは無かったのであった。
【次回に続く。】