第276回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第275話 大正10年5月8日午後の入学試験の事          2012年11月12日 月曜日の投稿です。
 
 
 
 しばらくすると、午前と同じメンバーの軍人が、試験会場に入ってきたのであった。
 
中央の教卓のところで、「全員起立、礼。」と、号令をかけると、我々もそれに従ったのであった。
 
陸軍将校は、「えーー、これから、第52期海軍兵学校の入学試験の3日目、午後の国語、漢文の試験を
 
はじめる。
 
これから、答案を配布するが、始めの号令がかかるまでは、答案を裏返しにして、問題を見ないように。」と、
 
指示を出すと、「よし、配布開始。」と、将校が指示を出すと、試験係の兵士が、答案を配布したのであったの
 
だが、人数が少ないので、あっという間に、配布が完了したのであった。
 
無言のしーーんとした、張り詰めた時間が過ぎていったのであった。
 
「ただいま、ヒトヨンマルマル【1400】時、試験開始。」と、大きな声で、将校が号令をかけると、みんな
 
一斉に、答案を裏返して、試験を開始したのであった。
 
みみの奥に、紙を裏返す音が、耳に残ってのであった。
 
 
イメージ 1
 
 
第1問は、せいべいと、瓢箪という、志賀直哉の小説の虫食いの漢字の問題であった。
 
せいべいという、少年が、瓢箪を磨いて、布でから拭きしていると、良い色になってきて、磨くのが、やみつき
 
になっていき、 学校の授業中も、瓢箪を磨いていると、先生に見つかって、取り上げられてしまうのであった。
 
先生は、瓢箪を没収して、 小遣いの【現在の用務員】男に、瓢箪をくれてやったのであった。
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
小遣いの男が、道具屋に瓢箪を持っていくと、はじめは、二足三文の値段を提示してきたのであったが、
 
引っ張って、なかなか売らなかったら、どんどんと、値段があがっていき、ただの瓢箪が、大金に化けるという
 
内容の小説で、以前、五条の敏恵さんの本屋で、見たことがある内容であった。
 
すらすらと、解答が出来たのであった。
 
 
【次回に続く、】