第284回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第283話   地理、日本史の入学試験の事          2012年11月20日 火曜日投稿。
 
  会場の受付に行くと、十数人人程度の名簿があって、「 受験番号 88番 源田實です。」と、挨拶すると、
 
「入って良し、机の上に、番号が貼ってあるので、そこに座るように。」と、 指示を受けたのであった。
 
受験番号、82番から、広島1中の生徒の番号が、続いていて、 前の関は、井上で、自分は、列の一番最後の
 
席であった。
 
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                   【海軍兵学校の伝統競技  通称  ぼうたおし の風景】
 
  井上が、「源田、どんな問題がでるんかのう。」と、前の席から聞くので、「そんなもん、わかるはずがなかろー
 
がー。」と、返事をしていたら、陸軍准尉を先頭に、試験係の兵士が、数人会場に入ってきたのであった。
 
実質、学科の最後の科目で、ここを乗り切れば、作文、面接、被服採寸となるのであった。
 
 陸軍准尉は、ずいぶんと年の人で、たたき上げの長老のような兵士で、下士官と、将校の間に位置する階級
 
である。
 
   中央の教卓に、陸軍准尉が、到着すると、大きな声で、「全員 起立。」  「まずは、かしこくも天皇陛下
 
おわします、東の方向に拝礼する。」と、号令をかけて、 長靴をを音をたてて、かがとをつけると、背筋を
 
 伸ばして、一礼されたのであった。
 
 自分たちも、右にならえで、東の方向に、一礼した。
 
「 よし、なおれ。」と、号令して、頭を上げると、今度は、「父母のおわす方角に、礼。」と、大きな声で号令して、
 
我々も、それにしたがって、実家のある加計町の方向の北の方向に、頭を下げたのであった。
 
  【次回に続く。】