第290回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第289話 大正10年5月9日の昼の出来事 2012年11月26日 月曜日の投稿です。
女学生の軍事教練というのは、指導している陸軍の兵士も、ニコニコと楽しそうで、一緒に軍事教練を
したい、重森や、石村や、井上が、動こうとしないので、一緒に見ることにしたのであった。
「ほうーー、なかなか、ええ、かっこうじゃのう。」と、伏せ撃ちの姿を、みんなにやにやし
ながら、見物していたのであった。
男の人でも、重たい旧式の30年式歩兵銃を、捧げつつしている姿は、
感心であったが、源田は、人ごとでは無い、午後からの試験の事が心配で、
だんだんと、イライラしてきたのであった。
「おい、そんなもん、見ても時間の無駄だ、先に行くぞ。」と言って、兵員食堂に
向かって歩き出したのであった。
途中で、後を振り返ると、他の生徒は、そのまま、軍事教練を見ていて動かなかった
のであった。
今日は、大切な海軍兵学校の入学試験で、試験に集中しないと、取り返しが
つかなくなると、考えて、午後からの試験が、どんな問題なのかと、考えていたのだった。
【次回に続く。】