第320回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第319話 海軍兵学校 口頭面接試験の事 2012年12月27日 木曜日の投稿です。
「ほんなら、わしー、いってくるけえー。」と、言って、石村裕二は、建物の部屋の引き戸をひいて、
廊下に、出たのであった。
尾道中学の吉原が、「さっきから、階段がどうのこうのいうて、試験となんのかんけいがあるんきゃーの。」
と聞くので、「口頭面接試験で、いきなり、先ほど歩いて上がってきた、階段の数は何段であつたのか、
と、聞かれる場合があるんよ、我々の注意力をのーそれでためすらしい。」
そう答えると、吉原が、「そりゃーえーことおしえてもろうたわー、ワシもあたまにいれとくわー。」と、
ニコニコと、話しをしていたのであった。
石村は、廊下を土間のスノコの方向に歩いていって、階段の方向に向かって、歩こうとした
そのときであった。
受付の、陸軍の軍曹に、「おい、おまえ、 おまえだ。」 と、呼び止められたのであった。
「おまえは、どこに行こうとしておる。」と、聞かれた石村は、「あのーーかわやに。」と、
すぐわかるうそを言うので、「かわや【トイレ】は、この廊下をまっすぐ行って、つきあたりの、
所を、スノコがひいてあるので、渡って行くと、においがするのでわかる。
受験生徒は、あんまりうろうろと歩き回らないようにせよ。 時間までには、戻って入室
しとかないと、ややこしい話しになるぞ。」と、 言われて、 石村は、仕方なく、かわやの
方向にいったのであった。
【次回に続く。】