第321回 昭和の伝道師【戦中。戦後のパイロットの物語】

第320話  海軍兵学校 口頭面接試験の事          2012年12月28日金曜日の投稿です。
 
 
  受験生控え室の部屋から、石村裕二が、偵察に出て、10分程度したのに、帰ってこないので、
 
源田達は、「わりゃ、 石村どうしたんかのー。」と、心配していたのであった。
 
 「衛兵に、つかまったんかのー。」と言っていると、海軍大尉と、文官、陸軍の試験係の腕章をつけた、
 
兵士3名が、控え室に入ってきた。
 
 
 
イメージ 1
 
 
                           【大正当時の町の大通りの様子。】
 
  「 入学試験を受ける生徒は、起立せよ。」との号令で、全員起立したのであった。
 
「これより、大正10年度、海軍兵学校 第52期、口頭面接試験を始める。 うむ、 1人いないではないか
 
。」と、海軍大尉が、みけんにしわを寄せて、不機嫌そうになったのであった。 
 
  そこに、後の引き戸から、石村が入ってきたのであった。
 
海軍大尉と、控え室内の生徒の視線が、石村にそそがれ、「貴様は一人だけ、何をしておる。」と、
 
海軍大尉が、不機嫌そうにたずねると、石村のやつが、「すみません、朝のウンをつけに行っておりま
 
した。」と、言うと、みんな、「あっははははーーー。」と大笑いになったのであった。
 
 海軍大尉が、「運をつけにいっていただとーー。」と、ギロと見て、全員を見渡すと、「もういいから、早く、
 
席の位置にいけ。」と、指示を出すと、石村は急いで、自分の席の位置に戻ったのであった。
 
「 これより、皇居に対して、拝礼を行う。」「一堂、きょうつけーー、東の方角に向かって、礼。」と、
 
号令をかけると、我々も、礼をし、「父母のおわす方向に向かって、礼。」というと、源田は、故郷の加計の
 
方向に向かって、礼をしたのであった。
 
【次回に続く。】