第343回  昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第342話  海軍兵学校、口頭面接試験の事    2013年1月19日 土曜日投稿です。
 
 
 
  立ち番兵士の一等兵の指示で、方向を変えて、指示のあった、建物に向かった、 建物の土間に入り、
 
スノコの上で、靴を脱いで、下駄箱に入れて、中に上がった、  廊下の角で、木の机が置いてあり、
 
見覚えのある、上等兵殿が、試験係の腕章をつけて番をしていた。
 
 「奈良県立 畝傍中学卒業、 淵田美津雄 海軍兵学校、 口頭面接試験のため、出頭しました。」
 
と、挨拶すると、 私の顔写真と、照合して、鉛筆で、印を書類に入れて、こちらを見ていたので、
 
 
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 今日は、人も少ないし、雑談も良いであろうと思い、「いやーー、玉井上等兵殿、 3月の初旬の
 
畝傍中学での軍事演習では、色々とお世話になりました。」と言うと、「 いやーー、俺も、毎日ああいう、
 
体を使う訓練ばかりなので、今日のような、試験係は、走り回らなくて良いので、極楽、極楽。」と、
 
年頃も同じなので、雑談していると、次の生徒が、入ってきたので、「では、又後日。」と挨拶して、
 
部屋の中に入って、着席しても待つことになったのであった。
 
  少し早めに来たのであるが、どんな口頭試験かと、想像して、色々と返事の仕方を、黙想して考えて
 
  いると、あっという間に、時間がたってしまったのであった。
 
 横に座っていた、二人の1歳年下の現役の生徒は、二人とも知り合いらしく、世間話をしていたよう
 
 であった。
 
  一歳年が違うと、 頭を低くして、対等に話しをすると言うのは、気が引けて、 あまり口をきかなかった
 
のであったが、これが、後に、良いことであった。
 
 席の後ろに、籏屋一等兵が立っていて、我々の待ち時間の態度を、試験官に報告するとは、待っていた
 
三人とも、気がつかなかったのであった。
 
 少しすると、背が少し小さくて、ずっしりと肉体のしまった、がっしりとした海軍大尉が待合の部屋に
 
入ってきたのであった。
 
 この人が、後の海軍大佐  飛龍艦長  賀来 止男大尉 当時との初めての出会いであった。
 
 
【次回に続く。】