第372回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第371話 砲丸投げの重さの事。 2013年2月17日日曜日の投稿。
私は、葛城の家に帰宅して、炊事をしながら、兵学校2次入学試験の事で、頭がいっぱいであった。
いつ2次入学試験の案内が海軍省から来るのかわからなかったのだが、畝傍中学からの入試情報に
基づいて、準備をするのに、どうしたらよいのか、皆目、よくわからなかったのであった。
独りで、夕食を食べて、食器を洗って、片付けた後、「8ポンドとは、どないな、重さやろ。」と、大変
気になって、翌日、五条の町の大池書店に、調べに行ったのであった。
当然ながら、練習を兼ねて、葛城の家から、駆け足で、五条の町まで出かけたのであった。
書店に着いてみると、敏恵さんがいて、「あらーー、淵田さん、合格おめでとう。」と、にこやかに、声を
かけてくれたので、「 やーー、まだまだや、 これから2次入学試験が、あるや。」と、言って
話しをしていたところ、奥から敏恵さんのお母さんが、出てきて、「 淵田君、えらいすまんことに、
大阪と、京都の問屋さんにといあわせたんやけど、そないな海軍兵学校2次入学試験ちゅう、
問題集、ないと、いうてきたんや、 ほんまに堪忍やで、どないしょう。」と、言う物だから、
「どうも、聞いた話では、2次入学試験ちゅうのは、体力試験で、走ったり、砲丸投げなどをするそうや。」
というと、敏恵さんのお母さんが、「そうなんかいな、 勉強じゃないので、本なんか、ないんや。」と、
こんな会話をしたのであったが、「 おばさん、1ポンドちゅうたら、何キロかいな。」と聞くと、おばさんが
「あそこの、分厚い本を探してみたら、のっとるんとちゃう。」と言うので、早速開けて見て調べたので
あった。
ページをめくってみたら、 載っていた、 1バウンドは、453グラムとある。 ポンドとは、オランダ語
で、 イギリスの英語では、バウンドと発音するらしい、
頭の中で、453グラムに、8をかけると、約3600グラムやと、はじいたのであった。
敏恵さんと、しばらく世間話をした後、私は途中の河原に、走って行って、ちょうど良いような石ころを
捜して、砲丸投げの練習をするために、家に持ち帰ったのであった。
【次回に続く。】