第374回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第373話  海軍省よりの電報の事、 2013年2月19日火曜日の投稿です。
 
 
 
  母のシカが、大阪の赤十字病院を退院して、淵田家には、また、元の暮らし

がもどりつつあったのです。
 
  当時父の、やぞうも、校長として、尋常小学校に復職し、 徐々にではありますが、

母のシカも入院前よりずいぶんと顔色が良くなり、炊事などは依然、私と父が行って

いたのですが早く良くなることを願っていたのです。
 
 
 
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お昼前であったでしょうか、母の食事でおかゆを作って脇とりで【お盆のこと】運ぼ

うかと支度していたのですが、玄関に「電報です。」と、配達の人が来たのです。

開けて見ると、海軍省からで、「 カイヘイ、ゴウカク イインテウ。」 と書いてあり、

四角い角印がポーンと、押してあったのです。
 
  いつ来るのかと、イライラしていたのですが、やっと、海軍兵学校の1次試験合格

通知が来たのです。
 
 
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「ほーーーう、こりゃーー、えらいこっちゃ。」と、懐に、電報をしまい込んで、 私は、

うれしさのあまり、飛び回りたい気持ちになり、その気持ちを抑えて、土間の台所

に戻って 脇取りで食事を母の所に、持っていったのです。
 
母は、「美津雄ごめんなさいね、もうすぐ母さんが、炊事はするから。」と言って、

おかゆを食べかけたのでありましたが、私が、「へへへへへへっ 。」と、言うと、

「 美津雄なんやね、気色悪い。」と母が言うものてすから、「かあさん、ついにきた

んやがな。」と、海軍省からの電報を差し出して母に見せたのです。
 
母も、心から喜んでくれたようで、現在考えて見ると、この時が、母と私の1番幸福な

時だったのかもしれません。
 
 
 
【次回に続く。】