第376回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第375話  淵田美津雄、出陣ス。               2013年2月21日木曜日の投稿です。
 
 
 
 海軍兵学校採用委員長宛に、同封されていた、専用のはがきに、「海軍兵学校採用希望」と、
 
記入して、郵送したのであるが、それから、10日後、程度であったか、私は、日時に遅れてはまずいので、
 
数日余裕を持って、6月の後半に、奈良県葛城の自宅を出発することにしたのであった。
 
 
イメージ 1
 
 
 現在は、橿原神宮の近くに、橿原神宮前という、駅があるのであるが、その駅が出来るのは、2年後の
 
大正12年の事である、 当時は、歩いて奈良まで出ないと鉄道には乗れなかったのである。
 
 私は、当時、兵学校の2次試練が終わると、家に一旦、すぐに帰ってこれると考えていたので、とりあ
 
えずの、下着、服装、筆記用具などと、お伊勢参りで買った、お守りを首からぶら下げて、母から当面の
 
お金をもらって、もう一度、忘れ物がないかと、確認したら、そうそう、兵学校からの書類を忘れていたので、
 
再度、風呂敷包みを直して、自宅を後にしたのであった。
 
しばらく歩いて、振り返ると、母がずっと、田んぼの畦の上で、立って見送りしてくれていた。
 
 手を振って、 大きな声で、「 いってきます。」と、言ったのを記憶している。