第378回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第377話 大池書店で、道中案内を購入する。 2013年2月23日土曜日の投稿です。
私は、時刻表などは、はじめて見る物で、敏恵さんが、持って来てくれた本は、全国鉄道絵図という
本で、開いて見ると、なーるほど、鉄道の駅と、時刻表、その他が記載されていたのであった。
「これなら。鉄道で移動するのに、ちょうどよい。」と、言うと、敏恵さんが、「でしょ、良かったら
淵田さんかいません。」と言う物だから、「いくらするんや。」といいながら、買うことにしたのであった。
敏恵さんから、「淵田さん、うち、広島のお土産たのしみにしとる。」と、言うので、「 そうか、なんぞ、
えーもんがあったらの、こうてきちゃる。」と、入学試験が終わったら、直ぐ帰ってくると考えていたので、
敏恵さんに、土産の約束をしたのであった。
「それでは、行ってくる。」と、言って、大池書店を出たのであった。
奈良の駅に着いたのは、お昼もずいぶん過ぎて、しばらくした頃であったか、「 えーーー、駅弁
はいかかーかー、 駅弁はいかがかー。」と、駅弁売りの声を聞くと、お腹がすいてきて、「おい、
俺にもひとつ分けてくれ。」と、一つ、買って、待合の長いすに、腰掛けて、むしゃむしゃと、食べていた
のであった。
すると、「やあーー、こんにちは。」という、声が聞こえて、弁当を食べながら、上を見上げると、奈良の
第38連隊の一次入学試験の合格者の一級下の生徒であった。
「おれは、これから、大阪に出て、夜行に乗ります、どうですか、一緒に。」と、さそわれて、
私は、思わず、「ほんなら、一緒にいきまっか。」と、返事をしたのであった。
「俺は、小池と言います。 たしか、姓名申告をされたときに聞いたのですが、淵田さんですよね。」
「年下ですけど、よろしくお願いします。」と、言って、ぺこりと頭を下げるので、私は、「わしも、
よろしゅーたのむでー。」と言って、返事をしたのであった。