第383回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第382話  初めての広島市内の事。    2013年2月28日木曜日の投稿です。
 
 
  広島駅の駅舎を見て、驚いた我々は、第5師団の軍都、広島の近代的な、交通網に、驚いたので
 
あった。
 
 
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           奈良県では、珍しいガソリン車が、駅前にあふれていたのであった。
 
           私は、行き先を通りすがりの、おばさんに聞いて見たのであった。
 
           「あのーー、猿楽町【さるがくちょう】と言うところに行きたいのですが、どっちへ向い
 
          て、歩いたら、よいでしょうか。」と、聞くと、おばさんが、「あんたらー、どっからきたん
 
          ねーー。」と、逆に質問されたので、「 はぁー、奈良県の葛城村から、海軍兵学校
 
          の試験を受験しに、広島にまいりました。」と、言うと、「 そりゃーーあんたらーー、
 
           ぶち、すげーーじゃん。」と、言われて、少し照れてしまったのであった。
 
          「 猿楽町言うのは、そこに、路面電車の線路があるじゃろう、それずたいにあるいて
 
         いきゃー商品陳列所いう、丸い屋根の大きな建物があるけえ、それが目印じゃーー。」
 
         と、教えていただき、2人で、丁重に、礼を言って、西の方向に歩いて行ったのであった。
 
 
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                              【大正時代の広島市内】
 
         我々2人は、煙も出さず、道をするすると走る電気電車というのを見て、 
 
    「はぁーー、なんちゅう、のりもんかいの。」と、眺めながら、歩いたのであった。
 
     時は、6月30日の暑い1日であったが、珍しいので、暑さのことも忘れ、 市内を歩いたの
 
    であった。
 
 
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                         【昭和初期の広島市内商店街】
 
 
   我々は、大正橋をわたって、西に進み、比治山という、山を左手に見ながら、柳橋をわたって、
 
 京橋川を渡り、市内に入ったのであった。
 
   「小池君、広島ちゅーところは、にぎやかやのーー。」と、言うと、小池君は、先ほどまで、睡眠不足
 
  で、ぐったりしていたのが、 元気が出てきたようで、「 ほんまでんなーー。」と、そんな会話を
 
  しながら歩いて行くと、右手に、第5師団司令部の、広島城が見えてきたのであった。
 
 
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       小池君が、「淵田さん、奈良の大仏様もおおきいですが、広島城天守閣もおおきい
 
     ですなーー。」と、言うので、 私は、「ほんまやなーー、門がまた、とてつもない、
 
 
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     おおきな門やがなーーーと、炎天下の大手門をながめながら、西に西に歩いたのであった。
 
 
     そして、お目当ての、変わった、丸い屋根の建物が見えてきたのであった。
 
 
 
【次回に続く。】