第397回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第396話 海軍では、5分前に準備万端整列の事。 2013年3月23日 土曜日
朝食時、茨城県の水戸中学の井上武男君が、箸が進んでないので、「 どないしたんや。」と、
語りかけると、「 ねむたいだっぺや。」と言うので、井上君、朝早いのが苦手なようで、「はようせんと、
迎えの先輩が来るさかいに。」と、言うと、一生懸命、麦飯をかき込んでいたのが、記憶に残っている。
そうこうしていると、土間の方で、「 海軍兵学校、3号生徒、安井保門であります。」と、
言う声がしたので、みんな、外に整列したのであったが、私は、食器をそのままに散らかして、
外へ出てはと思い、台所の方に、脇とりに、食器を重ねて、かたづけて、持っていき、その後、
すこし遅れて、土間から外の庭に出たのであった。
安井生徒、私の方を冷たい視線で、ギロリと見ると、「淵田生徒は、一歩前へ。」と、大きな声で、
号令されたので、私は、一歩前に出たのであった。
安井生徒は、「 淵田生徒、 海軍では、5分前に準備を整えて、整列するのが、しきたりである、
一人だけ、遅れて出て来るとは、何事か。」と。みんなの前で、注意されたのであった。
私は、朝から、年下の生徒の前で、物笑いされたと思い、当時は、「 なんちゅーやっちゃ、ばかやろーー。」
と、心の中で、思ったのであるが、 「えらい、すんません。」と、同級生の同郷の先輩に、ぺこりと、
頭を下げたのであった。
今から思えば、5分前には整列するは、海軍では、常識のことで、事前に、兵学校入学前に指導していた
だいて、ありがたく思っている。
海軍兵学校に、入学後、このような事をすると、「 修正。」と、大声で、叫びながら、平手打ちを
食らって、1号生徒全員から夜の説教を食らうところであった。
【次回に続く。】