第423回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第422回 江田島台風の事。 2013年4月19日金曜日の投稿です。
私たちは、起床動作を見学して、3号生徒が寝具をかたづけて、整頓すると、寝台の前に、各自
不動の姿勢で、きょうつけの姿勢で、立っていたのであった。
1番遅い生徒でも、10秒も違うことは、なかったのであった。
監事附きの曹長が、 とことこと、音をたてながら、各寝台を見て回り、じろりとある生徒の
寝台で、目を止めたのであった。
それぞれの寝台の足下に、木製のささいな私物入れあるのであるが、そこのふたを開けて、
「 何ダーー貴様ーーこの入れ方は。」と言って、寝台の布団などを床に、投げ落としたのであった。
「 もう一度、やり直し。」 と言って、 次の生徒の寝台に行って、すると、シーツに短い髪の毛が、
ついていたのを見つけて、「 なにかーーー、これはーーーー。」と、じろりと生徒をにらんで、
またまた、寝具を床に、投げ落として、「 やり直せ。」と言って、 次々と、せっかく整理整頓した、
寝台の寝具を床に落としていったのであった。
私は、えらいきびしいことやなーーと、見ていたのであるが、 このような事は、日常茶万事らしい。
寝具を整理整頓して、毎日外に海軍体操をしに、急いで出るのであるが、 検査の係の者が、寝台を
確認して回り、少しでも、寝具の片付けがまずいと、寝台の寝具、木箱の中の私物、こういう物を、
床に、放り投げられるのである。
これを江田島台風と呼んで、 私たちは、ずいぶんと、在学中、厳しい指導を受けるのであった。
そういうわけで、現在でも、本を一つ置くにしても、鉛筆を置くにしても、布団をたたむにしても、
衣類をしまうことにしても、 なんでも、ぴしーーとしていないと、いけないというクセが、体にしみこんで
いるのである。
【次回に続く。】