第430回 昭和の伝道師 【戦中戦後のパイロットの物語】

第429話   お土産の事。                2013年4月26日金曜日の投稿です。
 
 
 
 
  河原石港に上陸した私たちは、 呉駅を目指して、かんかん照りの日差しの中、行列をつくって、
 
ぞろぞろ歩いたのであった。
 
 
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                           【昭和初期の呉市内の様子。】
 
      江田島も、暑かったのであるが、ここ呉も、時間的に午前中ににもかかわらず、とても暑く、
 
     私は、どこか、かさばらない、費用の安い、お土産物はないかと、ちらり、ちらりと、周囲を
 
     見て歩いたのであった。
 
      中通りという、商店がならぶ通りを見て歩いたのであるが、呉という町は、軍事都市のため、
 
 
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                            【昭和初期の当時の土産物 】
 
 
      土産という物が、水兵の帽子とか、セーラー服とか、軍艦の木の模型とか、タンクとか、
 
      そないな土産品が多く、 他の生徒は、小さな、水兵の人形などを、買っていた生徒も
 
      いたのであるが、私の場合は、女人、 つまり、母とか、書店の敏恵さんとかに買って帰ろうと
 
       思っていたのであるが、どうも、ちょうど良い物がない。
 
      小池伊逸君に、事情を話して、相談すると、「 えーーとこありまっせ。」というので、
 
     「どこやがな。」と、聞くと、広島市内の駅の近くで、そういう店屋を見たという、「はてーー 、
 
     わいは、気がつかんやったがーーーーー。」と、会話しながら、呉で、土産を買うのはやめて、
 
     広島で土産を買うことにして、私たちは一路、広島を目指したのであった。 
 
     
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                             【大正時代の呉駅の様子】
 
 
      
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                  【当時の呉線のプラットホームの古写真】
 
 
        呉駅から、私たちは、呉線の広島駅行きの蒸気機関車に乗り、30分程度、
 
        かけて、広島駅に着くと、こここで、西の九州方面に帰る生徒と、手を振って、再開を
 
        約束して、福元義則君たちと別れて、 私たちは、1度、広島市内に出たのであった。
 
 
 
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                      【昭和初期の広島駅  風景 古写真】
 
        小池伊逸君が、「 淵田さん、こっちですがな。」と、案内するので、「ほうーーどこかいな。」
 
        と、ついていくと、いろんな店が並んでいる、商店街のような所であった。
 
        私は、兵学校の受験のことばかり心配で考えていて、ここに、こんなお店があるとは、
 
         まったく、気がつかなかったのであった。
 
         「さすがは、小池君、 見ている場所が、私と違う。」と、感心していたのであった。
 
 
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                     【 昭和初期の広島市内の様子】
 
 
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        「 ほうーーー、こう言う人形やったら、喜びそうやなー。」と、見ていると、小池君は、
 
         反対側の下駄屋で、きれいな赤いはなわのついた、下駄を買っている、
 
        「 そないなの、買ってどないするんや。」と聞くと、「 淵田さん、 毎日使える物が、役に
 
        立って、えーーですがなーー。」と、いうので、「ほうーーーーー。」と、私は、商品棚を
 
        
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          見て、考えこんだのであった。
 
          そやなーーー、そういういえば、げたは、毎日、はくもんやなーーーーと、思い、
 
          「 おばさん、これと、これと、これと、こっちの男物も頼みまっせ。」と、買うことにして、
 
          下駄を買って帰ったのであった。
 
 
 
 
【次回に続く。】