第433回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第432話 夜遅くの下宿への帰宅の事。 2013年4月29日月曜日の投稿です。
一方の主人公の源田實は、海軍兵学校での、採用予定者通知を受領後、 その日のうちに、
広島市内に、戻ったのであった。
【昭和初期の広島駅前の様子】
呉線から、広島駅についたのは、夕方の19時前後のことであったが、7月のため、
まだ、薄暗い感じであった。
19時頃になると、日中の残暑が残っているのであるが、暑い時間は通り過ぎていて、
歩きやすかったのであるが、お腹がすいて、腹ぺこであった。
駅を降りて、商品陳列館方向に、歩いていると、「 おにぃーちやん、人力車に
のっていかんかねーーー、やすーーしとくよーー。」と、声をかけられたのであったが、
損に誘いは、断って、一路、下宿先に急いだのであった。
【 昭和初期の元安橋の様子、】
源田實が、一泊せずに、1人だけ、早く帰ってきたのには、事情があって、
早く、下宿のおばさん達に、海軍兵学校の採用が決定したことを、報告したかったのと、
母校の、広島第1中学に、明日早々、一番乗りで、合格の報告に行きたかったから
であった。
下宿に到着すると、「おばさん、みのるです。 帰ってきたけぇー。」と、引き戸を開けると
「 まあーー實君、ようかえってきたねーー、ご飯たべたんねーーー。」と、聞かれたので、
「 たべとらんけぇーー、ぼれーーはらがへって、死にそうなんよーー。」と、言うと、
「ちょうど、おじちゃんも、晩ご飯食べようるけー一緒にたべんさい。」と言って、
食卓のほうに行って、「 おじちゃん、合格したけぇーー・」と、報告すると、
下宿先のおじさんが、「 ほうーーー、やっと合格がきまったんか、えかったのうーー。」
と、喜んでもらえたのであった。
「 實君、明日のーー、加計の家に、電報で知らせいやーー、父ちゃん達、よろこぶ
じゃろうけえーー。」と言うので、「 1番に1中に報告しに行って、それから、電報
打とうかとおもようるんよ。」と、言うと、おじさんが、「 1中ーーーー、。」と、言うので、
「母校に一番乗りで、合格の報告にいきたいんよーー、他の連中は、まだ江田島
泊まりじゃけぇー、朝一番に行けば、間違いないけぇーー。」と言うと、おじさんが
「實は、なんでも1番じゃないと、きがすまんのんじゃのうーーーー。」 といいながら、
自分のところで作ったお酒を、ぐいっと飲み干したのであった。
【次回に続く。】