第458回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第457話 カリーアンドナイスの事。 2013年5月24日 金曜日の投稿です。
私たち4人は、呉駅を出て、一路、中通りと呼ばれる、商店がある地域に、歩いて出たのであった。
【 当時の呉市内の古写真 】
しばらく歩いていると、 水戸中学の井上武男君が、大事そうに、なにやら抱えているので、
「 井上君、なんや、それ。」と尋ねると、「 なっとうだっぺ。」と言うので、当時私は、
納豆なる物を、何か知らず、「 そないなもん、なににすんねん。」と、さらに井上君に、
尋ねたのであった。
すると、 今日の宿舎の三谷の老婆への、水戸の手土産だという。
「みんなで、分けて、ご飯の上にのせて、たべるだっぺや。」と言うのであった。
せんか。」と言う、 源田が声を出して、「 なんじゃい、カリーアンドナイス コーヒー付き
25銭じゃと、かんばんにかいてあるけーーどか。」と言うと、 私は、「小池君が良かったら
なんでもええんや。」と言うと、結局、みんなで店の中に入ることになったのであった。
中に入ると、まだ午前11時過ぎであったのだが、「 へい いらっしゃい。」と
威勢の良い声が聞こえてきて、 小池君が、「カリーアンドナイス 1つ。」と
頼むと、私たちも、「 おいさん、 わいも、頼むで。」と、それぞれ頼むと、
「へい、出来上がり。」と、あっという間に出てきたのであった。
ジャガイモを潰して、丸めて固めた、ヌーデルという物が上に乗っていて、
おいさんに聞いて見ると。 イギリス海軍の食べ物であるという。
おいさん、元海軍の水兵らしく、我々が、江田島にあさって、入学式に行くという
そんな話を、井上君がすると、急に態度が、かしこまって、 「 はあーー、兵学校の
生徒さんでしたか。」と、さらに、親切になつたのであった。
食べて見ると、とろりとして、なかなか美味しいのであるが、非常に辛い、 辛いので、
源田は、水を飲みながら、食べていたのが記憶に残っているのであるが、
おいさんに聞いて見ると。 水のようなスープだと、船で揺れたときに、こぼ゛れるので、
小麦粉をいれて、とろみをわざとつけてあるのだという。
これだと、飯をついで、上からかけるだけなので、早く客に出せて、合理的である。
さすがは、イギリス海軍の食事のメニューだと感心していると、次は、
コーヒーとドーナッ と言う物が出てきて、 珍しがりながら、いただいたのであった。
私は、ドーナッという物を食べるのが、そのとき初めてで、 にがいコーヒーと一緒に
いただくと、これまた、美味しかったのであった。
源田が、「おいさん、このドーナッ、10個ほど、まとめて、わけてもらえんかのう。」と言うと、
「別につつましていただきます。」と言うことになり、 私は、「 おい、源田君、どないす
んねん。」と、質問すると、今日の江田島の指定宿舎の、川口家に土産にするという。
すかさず、私も、「 おいさん、わいも、ドーナッ10個 つつんでくれへんか。」と
頼んだのであった。
【次回に続く。】