第465回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】
第464話、生徒服を着るの事。 2012年5月31日 金曜日の投稿です。
大声で、「 全員急げーーー。」と、角田隆雄1号生徒の号令で、私たちは、風呂から上がり、体をふくと、
衣服を着て、 「 全員整列、番号。」と、指示を受けて、「 1、2、3、ーーーー。」と、いいながら、整列して、
「全体、行進はじめーーー。」の号令で、角田隆雄生徒の後をついて、 次の建物に入ったのであった。
たしか、酒保のある、建物であったと記憶している。
そこで、角田隆雄1号生徒から、「 全員、後で待っている生徒がいるので、衣類を
受け取って、早く着替えるように、 そして、この袋に、今まで着ていた服をちゃんと
たたんで、入れて、出来た者から、整列するように。」と、指示を受けて、衣服の配給の
机の前でならんで、順番を待ったのであった。
ふと、左の方を見ると、番号の早い、源田と小池君は、 生徒服を着ている最中で、
なかなか、にあうやん。と、見ていたら、 私の順番がきて、「 奈良県立畝傍中学卒
淵田ーー。」と言いかけると、受付の人に、「 そんなことはいい 、第何分隊か。」
と聞かれて、はて、自分は何分隊か、解答が出来ず、 ちらりと、後ろを見ると、
角田隆雄1号生徒が、私の後に立っていて、 平手で、私の後頭をパチンと、たたいて
「いたたたた。」と、思っていると、「 ばかもん、貴様、第13分隊だろうが。」と、指導
され、「 第13分隊の淵田美津雄であります。」と、申告すると、 しばらくして、1ヶ月前に試着
した生徒服が、手元に届いたのであった。
そして、急いで、着ていた服を脱いで、 生徒服を着て、「おうーーー、ぴったしやがなー。」
と言いながら、いかりのマークのついた帽子をかぶると、やっと、海軍兵学校の生徒に、
なったと、思ったのであったが、 脱いだ服を折り目をつけて、丁寧に、たたんでいると
ひげの生えた、生徒隊監事附の下士官が、私に近づいてきて、 じろりと、するどい
まなざしで、にらみつけたのであった。
【次回に続く。】