第481回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第480話 海軍兵学校 2号生徒の世話係の事。 2012年6月16日 日曜日の投稿です。
私たちは、ぐじゃぐじゃにされた、寝台を、不満そうな顔で、又、ため息をつきながら、直したのであった。
「やれやれ。えらいこっちゃ。」と、独り言を言っていると、「 淵田生徒、貴様ーー
おのれの落ち度を反省せず、 不満を漏らすとは何事か。」と、随分大きな声で、
分隊伍長の角田隆雄1号生徒に、怒鳴られたのであった。
私は、すかさず、「 分隊伍長どの、申し訳ありません、以後、十分気おつけます。」
と。直ぐ、不動の姿勢で、反省したような、顔で、伍長度のに謝ったのであった。
やれやれ、あと、もうすこしで 、殴られるところであったと思っていると、
「 3号は、後に整列せよ。」と、分隊伍長の号令がかかると、私たちは、寝台を
そのままにして、後に整列したのであった。
2号生徒は、「 またまた始まった。」と言うような、目付きで、私たちを見ていて、 今度は、分隊
伍長補の鈴木末七1号生徒が、 「貴様らに、言っておくが、ここにいる我々も、 そこにいる、
2号生徒も、 今日のように、巡検で引っかかり、寝台を床にさばかれたりすると、連帯責任で、
全員、修正のげんこつを1発づつ、ありがたく頂戴していた物だ、 それが、今日の校長閣下
の訓示で、出来なくなったのは、知っての通りである。
貴様らの、顔つきを見ていると、 まだまだ、娑婆の緩みが抜けておらんようだ、 これから、
毎日、海軍兵学校精神を、たたき込んでやるから、そのつもりでいろ。」
と、 雷のような、分隊伍長補殿のお小言を頂戴し、私は、腹がすいて、 早く、朝食にならないものかと
緊張した顔つきで、不動の姿勢で、きょうつけをしていたのであった。
【次回に続く。】