第505回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第、504話 海軍兵学校 縄の結び方の事。              2013年7月10日 水曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
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                      【昭和16年頃の海軍兵学校 短艇乗り場の様子】
 
 
             私達は、早朝の短艇訓練のため整列していたのであるが、 分隊監事の大尉殿が、
 
             「 全員、休め、 注目。」  「 この中で、短艇、カッターとも呼ばれるが、こいだことが
 
             ある生徒は、挙手せよ。」と、質問があったのであるが、誰も手を上げなかった
 
             のであった。
 
             「 よし、  この船は、分隊事に1隻から、2隻程度、割り当てがされていて、船の訓練、
 
             清掃、手入れと、分隊事に行われ、 兵学校内で、速さを競う、短艇競技なども、
 
              分隊事に行われる。つまり、分隊の名誉がかかっておるというわけである。
 
 
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           いいか、駆け足にしても、 みくに山への登山にしても、 相撲にしても、
 
 
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            柔道にしても、剣道にしても、 射撃にしても、 棒倒しにしても、
 
 
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               すべて、分隊単位の競技として、行われる。 おーーーーう、貴様、
 
             貴様だーー、 負けたらどうなると思う。」と、聞かれると、 福元義則君が、
 
             「 はっ、 居残り練習でありますか。」と、解答すると、大尉殿が、「 そんな、
 
            生やさしい物では無い、 その都度違うのであるが、すさまじい、罰がまっておる。
 
             たとえば、まけた分隊は、この後の練兵場を100周まわるとか、 色々だ。」
 
             そんな話をするので、練兵場を100周も走るとはとんでもないことだと思っていると、
 
             「 いいか、貴様ら、性根を入れて、他の分隊の生徒にまけぬように、やれ。」
 
             「 返事は。」 と言うので、私達は、「 はい。」と、大声で叫んだのであった。
 
             分隊監事の大尉殿は、監事附きの曹長に、 「おーーい。」と、合図をすると、
 
              綱というか、大きめの縄を持って来て、 井上武男君に、「 貴様、 この綱をほど
 
              けないように、そして、ほどくときは、30秒以内に、ほどけるように、
 
             結んでみろ。」と、渡したのであった。
 
             海軍大尉殿は、 井上君を見て、「 貴様の海軍体操はなんだ、あれでは、タコ踊
 
             りだ、 こんどは、しっかりやれよ。」と、薄ら笑いをして、井上君を見ると、
 
             井上君は、しばし考えていたが、用意された縄で、竹さおにまわして、結び始めたので
 
             あった。
 
          【次回に続く。】