第507回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第506話 海軍兵学校  縄結び訓練の事。        2013年7月12日 金曜日の投稿です。
 
 
 
 
 私達は、等間隔に広がって、 縄を地面に広げていると、先輩の1号生徒、2号生徒は、 短艇を、
 
海面におろして、 「ピーーーー。」と言う笛の音で、オールを一斉に、垂直に上げて、 「ビッ。ビッ、」
 
という、笛の音に合わせて、短艇をこいで、沖に出ていく、 すべての分隊が、江田島湾内に一斉に出ていく
 
姿は、壮観やナーーーと見とれていたのであった。
 
 
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                   【昭和初期の江田島海軍兵学校 西側付近の古写真】
 
 
 
              こいで出ていく光景を見ていると、私は、こんな縄の結び方よりも、
 
            船で早く海にこぎ出してみたいもんやと考えていると。
 
 
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            後から、 監事附きの曹長殿が、「 何を、よそ見しておる。」と、怒こられてしまい、
 
            私は、縄を使って、 見よう見まねで、結んでみたのであった。
 
 
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      それを見るなり、曹長殿は、「  だめだ、だめだ、 貴様、もう一度やり直し。」と言われ、
 
       私は、「 はっ 。」と、返事をして、何度も何度もやり直したのであった。
 
      そのうち、「 全員、集合。」と、分隊監事殿から号令がかかり、私達は集合して、
 
      指導を聞いたのであった、
 
       「 いいか、この坊さんのラインは○ノットという結び方の特徴を話して教える。
 
         この話は、後日試験問題に出るので、よく覚えておくように。」 と、言うので
 
       わしは、「 こりゃーー覚えとかんと大変や。」と思ったのであるが、ノートも鉛筆もない。
 
       ここが海軍兵学校の授業の難しい部分である。
 
      分隊監事殿が、「 この結び方の特徴は、 確保したループ【輪】の大きさが変化しない事、
 
      負可が、加わっても解けにくい事、 細いヒモから太い綱まで、安定して結べる事、
 
      なれてくると、短時間で結べる事、 ほどこうと思えば、短時間で、ほどける事、以上である。
 
      おぃ 貴様、 先ほどの説明を、言って見ろ。」と、私を指名するので、 解答していると
 
      「違うーーー、 だめだ、 これから、全員で、大声で叫んで、復唱をする。全員、ケツの穴を閉めろ、
 
      腹に力を入れろ、 この結び方は、ボーライン、ノット結びである。」
 
      と言うと、私達は、それに続いて、「 この結び方は、ボーライン、ノット 結びである。」と
 
      全員で大声で叫ぶと、 「 まだまだ、声が小さい、もう一度。」と言われて、なんども、復唱
 
      させられたのであった。
 
 
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      我々の叫びは、だれも聞いてなくて、ただ、江田島の西側の海がじっと聞いていたのであった。
 
 
【次回に続く。】