第545回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第544話 海軍兵学校、航海術授業の事。 2013年8月19日 月曜日の投稿です。
私は、起立して、そのまま、最後まで授業を受けていると、お昼のラッパ信号が聞こえて
来たのであった。
「やれやれ、やっと昼やがな。」と、思うと、 腹がぐぅーーとなり、前を見ていると、
先任の右端の首席の入江生徒が、「 全員、起立、きょうつけぃーー、敬礼。」と、号令
をし、 私達は、背筋を伸ばした後、敬礼を行い、 そのまま、教室を後にしたのであった。
教室を出るなり、 「みんな、すまなんだな。」と、 わびを言ってまわるはめとなり、 分隊の
生徒みんなに、借りが出来てしまったのであった。
そのまま、全員で、生徒食堂に移動し、 いつものごとく、 整列したまま、 上級生などの
着席を待ち、 食事を駆き込むように済ませ、
私達は、次の授業がある、教室に急いだのであった。
1310時からは、 航海術という、船の操舵の授業があるらしく、 私は、自分の席について、
静かに、教官のこられるのを待ったのであった。
今度は、午前中の失敗にこりて、 二の舞にならないようにしようと、思っていると、
教官が教室に入ってこられ、 私達は、1番右前列の、首席の生徒の号令で、敬礼し、
「着席。」と言う指示で、椅子に着席したのであった。
幸いなことに、午前中とは違う、海軍大尉の教官で、 監事附の下士官が、又、1冊
ずつ教科書を大切そうに、私達に、配布していったのであった。
この本は、 航法兵器と、信号兵器機具、 気象兵器 の事が書いてある本で、
またまた、ページをいつものくせで、めくってみたくなったのであるが、私は
辛抱して、 握り拳を握りしめたのであった。
周囲を見渡すと、 全員不動の姿勢で、 教科書に手を触れる生徒はいなかったのである。
【次回に続く。】