第547回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第546話 海軍兵学校 磁気羅針儀の事、       2013年8月21日 水曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
   教官は、次々生徒を当てていき、 ドンドンと教科書のページは進んでいったのであった。
 
 「 えーーー磁気羅針儀は、 我が海軍では、二通りに別れていて、乾羅針儀 【Dry Compas】と、
 
  湿羅針儀【 Wet or Liquid Compas 】 の2種類に分けられる。
 
 
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      「我が海軍では、 艦内鉄具の影響を受けて生ずる自差を修正する要具を装備する物を
 
      修整式羅針儀と呼び、我が海軍に採用せられる制式の羅針儀は、次の如しである。」
 
      と、説明を続けると、 「 おい、そこの生徒、 貴様、ここから、読み上げてみよ。」と、 
 
      生徒を指名すると、 その生徒は、「 トムソン氏羅針儀ーーーーーーーー。」と、色々と
 
       読み上げるのを聞いていたのであった。
 
       教官が、 「全員、ページをめくれ。」と、号令をかけたので、 私は、ページをめくると、
 
 
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         次のページには、艦本式磁気羅針儀の構造が紹介説明してあたのである。
 
 
         私は、「ほうーーー、いろいろな、知らない名前や、英単語が出てきて、なんと、
 
         やっいやなーーー。」と、考えながら、教科書を見ながら、教官のお話を聞いていると、
 
          後から、「 ばーーーーーーん。」と、 机の上を平手でたたいたのか、大きな事がして、
 
          「 貴様、なにをしておる。」と、 雷が落ちたような、大声がしたのであった。
 
          私は、とっさに、後を振り向くと、後任の井上武男君が、どうも、うとうとしていたようで、
 
          やっと、目が冷めたようであった。
 
 
 
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          授業中、いねむりをしても、仕方がない状況である。 早朝起床時間0530時
 
          より前の、0400時に、1号生徒にたたき起こされて、 寝台の整理整頓をさせられ、
 
          起床ラッパ信号が鳴ると、 今度は、朝の宮城拝礼と、海軍体操、 そして、
 
 
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           0600時から、短艇の訓練である。 昼を過ぎて、 腹がふくれて、眠気が来る
 
          のは仕方がないことであった。
 
 
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          机をたたいた、監事附の下士官は、 井上生徒のクビをつかんで、 椅子から、
 
          起立させると、 「 貴様、今は何の時間であるか。」と、大声で怒鳴り上げたので
 
          あった。
 
          
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        私は、教科書を見つめながら、「 やれやれ、えらいこっちゃ。」と、 顔を前に
 
        戻して、井上生徒の心配をしたのであった。
 
 
【次回に続く。】