第548回 昭和の伝道師 【戦中、戦後のパイロットの物語です。】
第547話 居眠りの結末の事。 2013年8月22日 木曜日の投稿です。
井上生徒は、つまみ上げられて、 起立させられると、 羅針儀の授業は、中断したので
あった。
教官が、「 貴様は、なんという名前か。」と、じろりと睨んで尋ねると、 「 第13分隊の
井上武男であります。」と、井上君が、受け答えすると、 教官は、こんな話をしたのであった。
「ここにいる貴様らは、 全国の中学から選抜されてきた、優秀な生徒である。
我が、日本海軍は、少数精鋭を、もっとうとしていて、 今は、能力が低くても、コツコツ
努力を重ねて、 優秀な人物になる人間、 他のことは、能力が低いが、ある特定の事に
ついては、並外れた、能力を発揮する人間、 こう言う人物は、ばらつきのある人間は、必要
としないのである。
はじめから、ある程度、何事も出来る人間を採用した方が、 人件費もかからず、 安上がり
で、教育も手っ取り早いからである。
井上生徒、 貴様のこの時間は、 かしこくも天皇陛下から、32円という、月給をいただいて
おる身分である、 貴様は、そのような身分にあって、将来、御国のために、役に立つための
授業を受けておる時に、 居眠りをするとは、不忠きわまりない、何事であるか。」と、
みんなの前で、指導を受けたのであった。
教官は、「 第13分隊の生徒は、全員起立。」と、号令がかかり、 先任の前の福元生徒が
やれやれと、いうような、そぶりで、起立すると、わたしも、起立して、背筋を伸ばして、不動の
姿勢で、きょうつけをしたのであった。
午前中につづいて、午後1番の授業も、起立して従業を受けることになったのであった。
1400時までの辛抱で、 次は休憩時間やがなと考えて、辛抱することにしたのであった。
【次回に続く。】