第550回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第549話 海軍兵学校、 物干し場の事。 2013年8月24日土曜日の投稿です。
先輩方の衣類を休憩時間中に洗濯しないといけなくなったのであった。
私は、朝から授業中、立ち放しで、 養浩館の酒保に行って、ようかんでも、伝票を
つけて、食べようかと、楽しみにしていたのであるが、 がっかりである。
周囲を見渡すと、1番がっかりしているのは、後任の井上武男生徒で、少し、どこかで、
昼寝をしたかったようで、 ずいぶんと眠そうな顔つきであった。
福元生徒が、前に出て、私達の前で回れ後をして、 「 みんな、すまんでごあすが、これより、
第13分隊の洗濯を始めるでごあす、 時間が無いので、みんなよろしく頼みもんす。」と、挨拶
すると、私達は、駆け足で、 衣類の置いてある場所に行き、 急いで、洗い場で、衣類の洗濯
を始めたのであった。
今川生徒や、魚住生徒が、「 はぁーーー、なんで、こんな事を俺たちがーーーーー。」
と、ため息をついていたので、私は、奈良にいたときに、自分で炊事洗濯をしていた
ので、そうでもなかったのですが、 彼らは、すべて親が世話していたようで、手が動い
てなかったので、見ていると、福元生徒も、あまり命令ばかり出来ないと思っているら
しく、困った顔つきをしていたので、私がニコニコしながら、「 どうせ、せにゃあかんことは、
ぶつぶつ言わずに、笑顔で、するんやで。」と、声をかけると、2名とも、「 しかたないな。」
と言う顔つきで、洗濯物を干していったのであった。
早くしないと、次は、運動の教練の時間であった。
【次回に続く。】