第583回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第582話 海軍兵学校 小銃訓練の事。 2013年9月26日 木曜日の投稿です。
あるのです。
そういうわけで、温習室の後に整列などをしますと、ぷうーんと、小銃の油の臭いがするのでした。
されていまして、 私達を多いに苦しめていたのです。
南側の練兵場で、 ささげつつなどの、基本動作をしたり、 分列行進の教練
をしたり、私達は、初めは小銃を持ちますと、 「これで、わいも、兵隊になったんや。」
と、そんな、気持ちになって、 心強い相棒に思えたのですが、 だんだん、教練が
続いていくと、5キロ近くあります小銃が、ずっしりと、肩に食い込んできまして、 もう
大変であったのです。
ましてや、 マラソンのように、小走りで走る訓練になりますと、それはもう、汗は
吹き出るは、小銃は重たいはと、 心臓がさけそうになるのです。
陸軍と違って、海軍は、小銃訓練や、泥だらけになる陸上訓練は無いであろうという、
のです。
とにかく、基本動作と言って、 同じ事を繰り返し繰り返し、させられまして、 練兵場を
何周も周回させられるのです。 「足が、そろっていない、 手が肩の高さまで上がっていない。」
などと、教官、 監事附下士官に、おお怒られしながら、がんばったのです。
体の背が、すこし縮んだのではないかと、そん感じで疲れて、 足の裏が痛くなるほど、行進させ
られた後に、分隊の部屋に戻りますと。
問題は、その後でした。、くたくたになって戻って、 天皇陛下の小銃の手入れがありまして、
まず、ほこり、汚れを丁寧にふきまして、 銃身の中も、 ゆうていを抜いて、掃除をするわけです。
そして、2号生徒に見ていただいて、 さらに、1号生徒に確認していただく、 これがなかなか、
「よろしい。」と、許可が出ないので、何度も何度も、やらされるわけです。
ありまして、一丁ずつ、確認があるのです。
ここで、不備が見つかりますと、大変ややこしいことになって、1号生徒から、3号生徒まで、分隊
全員で、責任を取らされたのです。
あれは、いつでしたか、 小銃掛に小銃をおきますと、内部のバネが傷むとかの理由で、引き金
を引いて、落としておかないといけないのです。
その確認を、巡検で確認中、「 カッチャ。」と、引き金が落ちる音がしまして、 週番将校殿の
顔色が変わりまして、離れて整列して見ていた私達は、それはもう、「 えらいこっちゃ。」と、
「これはあかんでーー。」と感じたです。 週番将校殿が、整列している我が分隊に、睨んで、
「 この小銃は、誰の担当か。」と、 随分としぼられまして、「 ばーーーん。」と、机を平手でたたいて、
「 貴様ら、何をやっておるのか。」と、怒鳴られまして、分隊全員、大変厳しい指導を長時間
朝方まで、受けたのでした。
「かしこくも、天皇陛下から、お預かりした菊の御紋の入った小銃を、 なんと心得ておる。」と、
こういう風なことを、ずいぶんと、やかましく当時は指導されたのでした。
そして、私達は、生まれて初めて、実弾を小銃に込めまして、 射撃授業を受けること
になったのでした。
【次回に続く。】