第604回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第603話  シベリア難民移送計画の事。       2013年10月17日 木曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
     
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凍り付く、ウラジオストック市内を移動して、オケアンスキー大通り、17番地にある、日本総領事館
 
到着した、高柳少将は、 領事館に入ると、 「 陸軍少将、 高柳保太郎である。 総領事にお会
 
いしたい。」と。面会を申し込んだのでした。
 
 
  受付の係は、軍服姿でない、神父姿と、背広姿の陸軍の軍人に、少し戸惑ったようでした。
 
 
 
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               すぐ案内されて、二人は、総領事の部屋に通されたのでした。
 
 
   渡邊総領事と、石川副領事が出迎えて、 「 陸軍参謀本部から、この度、ウラジオストック
 
に、派遣されてまいりました、陸軍少将 高柳 保太郎 であります。」と、挨拶し、会談が始まった
 
のでした。
 
 
       
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     渡邊総領事が、「この度は、遠路ご苦労様です、まっ こちらに、おかけください。」と、手招き
 
したのでした。
 
 
 
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   高柳少将が、「 実は、陸軍では、 春先に、ここ、ウラジオストックに上陸し、 シベリア鉄道
 
そって、 連合国が唱えています、チェコ人、ポーランド人の、ロシア帝国による、抑留者の保護で
 
この沿海州に、各国の軍隊が、雪解け後の2ヶ月後程度に、展開する予定であります。
 
 
 
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当然、赤軍共産主義勢力との、戦闘も考えられるのでありますが、 難民を見て、 人種の特定が
 
非常に困難であると言う事であります。
 
中には、病人もおるでしょうし、 スパイも紛れておるやも知れません。
 
 
 
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陸軍としては、希望する難民すべてを、シベリア鉄道で、ここウラジオストックに移送するわけですが、
 
その後の事を外務省で、すみやかに、お取りはからい願いたいと、本日お伺いしたわけです。 
 
規模的には、数万人以上になると、陸軍では予想しております。
 
それらの避難民の仮の定住先、および、本国、ポーランドチェコなどに、どのようにして、送還するか
 
避難民がきてから、考えていては、混乱するばかりであります。」と、申し入れすると、
 
 
 
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渡邊総領事は、「 ご意見ごもっともでございます。  外務省としましても、近日中に善処したいと
 
思います。 」  「 ところでーーー、陸軍としては、内陸のどのあたりまで、駐屯をお考えでしょう
 
か。」と、渡邊総領事が、尋ねると、 高柳少将は、「 実は、これより本官が、挺進偵察に、
 
シベリアにおもむき、状況を浦塩派遣軍 由比参謀長に報告後、陸軍の方針を大谷大将が
 
決定し、各国司令官と打ち合わせの後、決定することとなっております。
 
 
 
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そういうわけで、 これより、シベリアに偵察に出ている間、私の代わりに、ここにおります、
 
三好陸軍中尉を、私と思っていただきまして、 連絡などは、三好中尉に、電信で連絡し、
 
こちらとの打ち合わせを行いたいので、よろしくお願いいたします。」と、言うと同時に、 
 
三好中尉は、 きりっとして、 礼を総領事に対してしたのでした。
 
しばらく打ち合わせして、 二人はウラジオストック総領事館を後にして、泰平組合ウラジオストック支店
 
に戻っていったのでした。
 
 
 
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       雪景色を、無言で眺めていた渡邊総領事に、石川副領事が、「 総領事、数万人もの
 
 
    宿泊施設など、ここ、ウラジオストックには、用意が出来ません、いったいどのようにされるの
 
    ですか。」と、尋ねると、 「 わしにも、わからんが、 ウラジオストックに、着いた人間から、
 
 
    
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         船に乗ってもらう以外、方法は無いだろう、 それらの難民の食料、医薬品など、
 
       ウラジオストックには、余裕が無い、 しかし、陸軍も、難題を持ち込んできた物だ。」
 
       と、しかめ顔で、外の風景を見つめたのでした。
 
 
 
【次回に続く。】